いつもの毎日

クリスマスから先週にかけて1ヶ月ほどの休暇で日本と韓国に遊びに行った。毎日どこかへ出かけたり、友達と会ったり。先週にベルリンに到着してすぐに預けていた車と犬を引き取ってから家まで200kmほど高速を走って帰る予定だったがあまりにも時差ぼけがひどいので、車中で1泊。やはり時差ぼけなので朝の5時に目が覚めてしまう。日本と韓国では常に人が周りにた。実家ではもちろん、ホテル泊やホステルで宿泊してもやはり旅行中というものはどこか気が休まらない。なので自分の車の中で寝るといつもの毎日がやっと戻ってきたような安心感と現実を感じた。それでも時差ぼけしている時はフワフワしていて、なんだか夢の中で生きているような気分になる。その辺のスーパーの駐車場で寝たのだがあまりにも体が疲れていたのか、外の音も気にならなかった。

せっかくベルリンで早朝に目が覚めたのだから、美味しいクロワッサンとコーヒーの朝食を食べたい。少し移動して美味しいパン屋さんの前に車を止めた。パン屋さんはだいたい7時くらいからお店が開くので(5時からやってる超早起きなパン屋さんもたまに見かける)お店が開くまで車の中を整理し、歯を磨き、身嗜みを整えてから犬の散歩を済ませた。ちょうどいい具合に7時になったのでクロワッサンとラテ頼む。ラテはエスプレッソマシーンではないのが残念だが、それでも久しぶりに飲んだそれはとても美味しくてやっとドイツに帰ってきたんだなぁという実感がじんわりと湧いてくる。さらにサクサクに焼き上がった艶のあるバタークロワッサンの角をサクっと噛み、口のなかに広がる香ばしいバターとパイ生地のような食感が、ここはドイツなんだという実感が更に深まる。

ドイツに10年も住むと、ちょっとの期間ドイツ国外へ出て戻ってくるくらいでは海外旅行へ行ったという実感が薄くなる。EU内での移動やシェンゲン協定によって国境での入国管理が行われないからパスポートのスタンプが増えるわけでもない。履歴にも残らない。残るのは旅の記憶と現地で買ったお土産くらいだ。だからだんだんと自分の中で国と国の境界線も薄れていく。確かに異国に一歩踏み入れたらそこは外国だと感じる要素はたくさんあるし、外国はやはり外国だ。しかし誰かが「はい、ここからは外国ですからね。」と面接をしてスタンプを押してもらう作業が消えることで、なんだか少しその国と自分を隔ている壁というか境界線みたいなものが消えたように感じる。その逆もしかりで、ドイツに帰ってきても帰ってきたんだ、という実感は1ヶ月離れていたくらいでは湧きにくい。じゃぁ何ヶ月、ドイツを離れたら実感が湧くのか?と考えてみたら、アイスランドとフィンランドで仕事をした時に5ヶ月間ドイツには一歩も足を踏み入れなかった時があった。あの時はさすがにドイツに戻ってきた実感が数日間続いたのを覚えている。

そのまた逆で面白いのが、私が日本に帰った時に感じる外国感である。ドイツに移住するまでのほとんどの時間を日本で過ごした。なのに私の中では日本は外国のようだと感じる。空港に降り立ち街へ出ると、スリや変なやつに絡まれないように気を張ることが少なくなるから安心してぼーっと歩ける。わからないことがあったら、店員さんや駅員さんに聞いても嫌な顔をされることはまず無い。サービスが丁寧でいちいち嬉しくなる。それでも日が経つにつれて日本での振る舞い方の記憶が体に戻ってくるとそれが当たり前になっていく。やっぱり10年暮らしたドイツと、27年暮らした日本と比べたらと考える。いつの日かドイツで暮らしている時間の方が長くなると、私は日本をどのように感じるようになるのだろうか。その日がとても楽しみである。

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